「生きていけない」仮放免者 2022.3.8記者会見

2022年3月8日に厚労省記者クラブで「生きていけない」仮放免者生活実態調査の記者会見を行いました。

出所:©yuki kuroyanagi


この記事では、記者会見での私の訴えを示します。
この記者会見の内容は、多くの記者やライターの方に記事にしてもらいました。
国会でも取り上げてもらいました(その模様は後日書きます)。
最後にリンク先を示すので、ぜひご覧ください。

私が言いたいことは、
①就労も医療保険も生活保護も認められていない仮放免者は「生きていけない」状況にあること
②仮放免者の多くは働ける年齢層で、かつ、日本での滞在年数が長いこと
③だからこそ、仮放免者に就労許可を出すことこそが、仮放免者の命と生活を維持するための最も効果的かつ合理的な方法であること
です。

仮放免者は生きていけません。
最近も仮放免の中学生の手術の相談がありました。
心臓に病気がありますが、医療保険加入できず、生活保護受けられず、全額自己負担で手術しなければなりません。手術代は300万円かかるとのことです。どうにもできません。
本来は国が命の保障をすべきだと考えていますが、国はやってくれません。
彼のような仮放免者が沢山います。ぜひ実態を知ってください

※仮放免者の命を救うための寄付を集めています。本当に大変な状況です。よろしければご協力ください。全額仮放免者のために使います。

■記者会見での発言(大澤)
北関東医療相談会の大澤と申します。よろしくお願いいたします。
今日はお集まりいただきありがとうございます。
事前にお伝えしていますが、今日は「仮放免者生活実態調査」の記者会見を行っていきます。

□仮放免者の「生きていけない」状況
早速内容に入らせていただきます。
私からお伝えしたいことは、この調査を行うに至った背景とその概要です。
周知のように、仮放免者というのは働けないですね。働くことが認められていません
なので、賃金を得ることが全くできないわけですね。
その代わりに、何か社会保障があるのかというと、一切ないですね。
例えば、国民健康保険加入できません。なので、仮放免者が病院に行くときは全額自己負担になります。
結局払えないわけで、皆さん我慢するわけですね。
体調悪くても、我慢して、どんどん、どんどん、悪化していく。最後は緊急搬送される。場合によっては亡くなるということが起きています。受け入れた病院側も未収金が発生して、経営に大打撃を受ける。そういった状況があります。

こういった状況である場合、日本国籍者であれば生活保護を利用することができるわけです。
ただ、仮放免者は生活保護を利用することは一切できません
なので、食料がない。お金がなくて病院に行けない。家賃払えない。ホームレスになってしまった、そういうときも全く何もできないわけですね。
ずっとそういった状況に押し留められているという状況があります。本当にあります。

ただ、こういったことをお話すると「そんな大げさなことはないんじゃないか」とか、「結局どうにかなるんでしょう」ということをよく言われます。
どうにもならないんですね
私が今日配布した資料があります。写真を掲載しました。

出所:大澤報告資料

カメルーン人女性のマイさんです。年齢は42歳でした。
彼女はですね、末期がんの状態のままホームレス生活を送っていました。
家賃が払えなくて、ロックアウトされてしまって、その後、友人宅とかホテルを転々として、亡くなっていった。そういった非常に悲しい事件が2021年1月に起きています。
マイさんだけじゃないんですね。仮放免者の皆さんはとても生活に困っています。一言で言えば、「生きていけない」状況です

次のスライドにもいろいろ書きました。

出所:大澤報告資料

括弧書きの「支援者」から、生活費の見返りに性的関係を要求され続けている仮放免女性たち。
今さらっと言いましたけれども、本当にしんどいですね。きつい、厳しい。これは奴隷と言ってもいいんじゃないかなと思います。
今日3月8日は国際女性デーです。仮放免女性の皆さん、声を上げることはできません。
その代わりに私が強くここで伝えておきたいと思います。
その下、卵巣がんの手術代として800万円かかると言われた南アジア出身のお母さん。子の方については添付資料の新聞記事で掲載しているので、後でご覧ください。
働けず食べるものもなく、学校から未払い給食費を請求され続けた東南アジア出身の母子家庭。子どもですね。このお子さん、今も非常に厳しい状況にあります。
このように、仮放免者の置かれてる状況というのは本当に悲惨で、さっき言いましたように本当に「生きていけない」状況です。

□仮放免者生活実態調査
でも、こういうことを言っても、「そんな特異な例ばっかりあげて」っていうお話もよくあります。
しかし、そうじゃないんだということで、私達、今回仮放免生活実態調査を行いました。
次のスライドにいろいろ書いてあります。

出所:大澤報告資料
【報告書】「生きていけない」外国人仮放免者の過酷な生活実態「仮放免者生活実態調査」報告 | NPO法人北関東医療相談会
出入国管理及び難民認定法(以下,入管法)で規定された「外国人仮放免者」の生活は極めて深刻な状況であり、一言でいえば「生きていけない状況」です。こうした深刻な状況は今すぐに改善されなければなりません。しかし、こうした状況を知っているのは外国人

ここで明らかになったことはですね、仮放免者の年齢層、多くが20代から50代の人たち働ける人たちということですね。
法務省もこの点については同様な調査を行っていますけれども、法務省の調査でも同様な結果が出ています。
また私達の調査では、滞在年数が他の調査と比べて長いということも明らかになっています。
その下、仮放免者というのは食料の確保が極めて困難な人たちです。他の調査と比べて極めて困難です。
あと、住居の維持確保も困難。家賃滞納をたくさんしている。電気ガス水道光熱費も滞納している。
医療費、お金がないので病院に行けない
あと、靴服、生理用品、子どもの教育費の支出も極めて困難
年収0円が70%借金もたくさんしている。
コロナの影響を受けた人もたくさんいます。
こういった人たちが仮放免者ですね。くどいですけども、本当に「生きていけない」状況です。

□仮放免者に就労許可を
こういった人たちにどういった対応をすればいいのかっていうことで、次のスライドで私達、四つの提言をしています。

出所:大澤報告資料

それぞれ大事なんですけれども、一番大事なのが、就労許可を出すこと、仮放免者に就労許可を出すことが一番大事です。
先ほどの調査で明らかになったように仮放免者の多くが働ける人たちです。かつ滞在年数も長い人たちですね。

働けないから収入がない。家賃払えない、病院に行けない、その他社会生活を営むことができないという状況ですね。働ければどうにかない人たくさんいるわけです。
なので、就労許可を出すことこそが、仮放免者の命と生活を維持するための最も効果的かつ合理的な方法だと私は考えていますし、強く言いたいです。
仮放免者も実際に働きたいといっています。このスライド右側に仮放免の声を載せておきました。
「自分の力で生きていきたい」、「自立して自分の力で生活していきたい」、「この国、日本という国の役に立ちたい」、そういったことを言ってます。就労許可を出すことが大事です。
ただ、こういうことを言うと、「仮放免者に就労許可を出すことは無理だよ」という声があるかもしれませんが、実際にですね、入管はもう同様な政策をやっています。
2021年から、ミャンマー人に対する緊急措置、緊急避難措置という中でミャンマー人仮放免者に就労可の在留資格を出しています。私の知り合いのミャンマー人仮放免者も在留資格が出ています。できないことはないんです。

なので、今すぐに、法務省は、仮放免者に就労許可を出す必要があります。

最後になりますけれども、今、ウクライナで大変なことになっています。
今後ですね、ウクライナあるいは反政府的な立場を取ったロシアの国民がですね、日本に難民として逃れてくる可能性がありますね。彼らが難民として逃れてきたときに、難民申請通らなかったら仮放免になることがあるわけですね。 仮放免になったら、さきほどからお話しているような生活が待ってるわけで、それはもう国際的に許されることではないと思います。こういったことを念頭に、仮放免者調査見ていただければと思います。

■記者会見の記事
ハフポスト(2022年3月8日)
命むしばまれる「仮放免者」たち。年収ゼロは7割、見返りに性的関係の要求も
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_620250c4e4b0b69cfe94424d?utm_campaign=share_twitter&ncid=engmodushpmg00000004

NHK(2022年3月8日)
仮放免中の外国人 84%が経済的理由で医療機関を受診できずhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20220308/k10013520621000.html

NHK WORLD – JAPAN
Temporarily released foreigners can’t afford healthcare
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/news/20220309_03/

朝日新聞(2022年3月8日)
仮放免の外国人「生きていけない」 7割が無収入、16%は1日1食https://www.asahi.com/articles/ASQ38658TQ38UTIL023.html?iref=sp_new_news_list_n

東京新聞(2022年3月8日)
入管収容から仮放免の外国人、7割が収入ゼロ 困窮で医療機関も受診できず NPOが生活実態調査【動画あり】https://www.tokyo-np.co.jp/article/164459

入管収容から仮放免の外国人、7割が収入ゼロ 困窮で医療機関も受診できず NPOが生活実態調査

上毛新聞(2022年3月8日)
85%が「コロナで生活苦しく」 仮放免の外国人 北関東医療相談会が調査
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/83391

マガジン9(2022年3月9日)
収入ゼロで「病院に行けない」「食料が買えない」――生存さえ守られない外国人仮放免者(中村)https://maga9.jp/220309-6-2/

毎日新聞:稲葉剛(2022年3月14日)
ウクライナ危機 足元の「難民鎖国」政策の見直しを急げ
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220310/pol/00m/010/015000c

FRIDAY:和田靜香(2022年3月14日)
日本に入国した「避難民のその後」の残酷すぎる実態
https://friday.kodansha.co.jp/article/233738

弁護士ドットコムニュース(2022年3月18日)
がんの手術に800万円請求、生活費の見返りに性的関係…仮放免の外国人の嘆き
https://www.bengo4.com/c_16/n_14263/

週刊女性プライム:小林美穂子(2022年3月18日)
【悲鳴】生活保護も保険加入も就労も認められない、自国に帰りたくても帰れない「仮放免者の生き地獄」
https://www.jprime.jp/articles/-/23482

東京民報(2022年3月22日)
非人道的「生きていけない」入管行政の改善求め会見〈2022年3月20日号〉
https://www.tokyominpo.com/2022/03/22/%E9%9D%9E%E4%BA%BA%E9%81%93%E7%9A%84%E3%80%8C%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%8D%E5%85%A5%E7%AE%A1%E8%A1%8C%E6%94%BF%E3%81%AE%E6%94%B9%E5%96%84%E6%B1%82%E3%82%81/

JAM THE WORLD – UP CLOSE:望月衣塑子(2022年3月23日)
入管収容から仮放免された外国人の方々の生活実態
https://spinear.com/shows/jam-the-world-up-close/episodes/2022-03-23-isoko-mochizuki/

下野新聞(2022年3月31日)
コロナ禍の外国人
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/571613

カトリック新聞(2022年4月24日)
「仮放免者」の生活実態調査



■意見書
京都弁護士会
(2022年3月29日)
仮放免者に対する生活支援や医療支援など人としての生存を支援し可能にする施策の推進を求める意見書
※調査を踏まえたうえで、自由権規約や憲法32条、社会権規約、子どもの権利条約、移住グローバル・コンパクト、憲法前文を根拠に、仮放免者に医療・生活保障をする必要性を論証しています。これからの活動の大きな支えになると確信しています。必読です。

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