「自助」することを許されず「共助」も破綻 「公助」からも見放された外国人

2021年6月4日、厚生労働省で「外国人困窮者の医療費を求める記者会見」を行いました。
以下、記者会見での私の発言と記者会見のきっかけとなったツイートです。 手術をしないと命を失ってしまう仮放免者がいます。募金窓口は最後に記載しています。命を助けるための寄付をよろしくお願いいたします

◆記者会見での発言
北関東医療相談会の大澤です。
今、長澤さんから困窮している外国人、特に仮放免者の置かれている極めて深刻な状況について話してもらいました。
こういった仮放免者のことを話す場があるのでお話すると、こういったことを言われます。「そんな大袈裟なことを言うなよ」とか「結局どうにかなるんでしょ」と。でも、どうにもならないんですね。どうにもならないから今日寄付を募っている。まずは、この仮放免者の置かれている深刻な状況についてご理解いただきたいと思っております。

もう少し話を進めます。どうして仮放免者がこういうふうになってしまうのかということなのですが、原因は色々とあると思います。その中の大きな原因のひとつとして、国あるいは入管が「外国人に人権はない」とか「外国人は煮ても焼いても自由だ」といったメンタリティや意識を持っていることがその背景にあるのだと考えています。
ご存じのように仮放免者は働くことが認められていません。だからといって生活保護のような公的保障を受けることもできない。働けないし、生活費を得ることもできない。これを単純に考えれば、生きていけないわけですね。

今年の5月3日と5日に四谷のイグナチオ教会で「大人食堂」という生活困窮者のための相談会を開きました。そこには多くの困窮者の方がいらっしゃっていましたが、外国籍の方も100人以上いらっしゃっていました。その多くが仮放免者でした。仮放免者の方は口をそろえて同じことを言っていました。「お金がなくて食べるものがない」、「お金がなくて病院に行けない、治療費が払えない」、「お金がなくて家賃払えない、すごい滞納している、大家さんに迷惑をかけている」。みんな同じことを言っていました。
自助」努力では仮放免者の方々、もうどうにもならないという状況があります。

では、このどうにもならなくなってしまった仮放免者の方々はどうしているのかというと、食糧や生活費に関しては、親族・知人・コミュニティでサポートしあうとか、支援団体の支援でなんとかしていたりします。また、病院に関しては、先ほど長澤さんからも話がありましたが、親切で理解のある病院が無料低額診療事業を使って面倒を見てくれたり、北関東医療相談会などの支援団体がサポートすることでなんとかやっている。家賃に関して言えば、払えないので理解のある大家さんが滞納を何か月も待ってくれていました。

ただ、このコロナ禍によって、そういった「共助」が破綻しつつあります。まず、親族・知人・コミュニティはコロナで大打撃を受けていてサポートできなくなってしまった。病院は先ほどもお話ししたように、理解のある親切な病院が無料低額診療事業を本当に熱心にやってくださっているのですが限界がある。医療機関がコロナで大打撃を受けていることはご存知かと思います。必然的に、全額自己負担の外国人はお断りという状況になりつつある。家賃もそうです。理解のある大家さん、滞納分家賃の支払いを待ってくれていますが、本当は何か月も待ってもらう義務や責任は大家にはないわけですね。いつ追い出されてもおかしくないわけです。
このように仮放免者は「自助」もできないし、「共助」も破綻しつつあるという状況があります。

そうであるならば、「公助」しかないと思います。国・入管がその人の命を保障すべきだと思います。ただ、ご存じのように国・入管は就労は認めない。また、生活保護のような公的な保障もしない。かなり強い言い方をしますが、これは国・入管による間接的な殺人だと言っても良いのではないかと私は思います。
実際に被害者が出ているわけです。配布資料の中に仮放免者でカメルーン人のマイさんの記事が書かれています。毎日新聞(https://mainichi.jp/articles/20210427/dde/001/040/036000c)とNHK(https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2021/01/0127.html)で取り上げていただいたかと思います。詳細はこれをご覧いただければと思いますが、マイさんは末期がんで入管を出て、家に帰ったらロックアウトされていて、末期がんの状態のままホームレス生活を送って亡くなっていく。犠牲者が実際に出ているわけです。もう犠牲者を出してはいけない
ただ、先ほど長澤さんから紹介した事例の方々は、このまま放置しておくと次の犠牲者になるわけです。事例1の「ガンと診断されたがお金がなく治療が危ぶまれている仮放免女性」について、私がTwitterで発信して多くの方にご関心をいただいたのですが、手術をしないと助からないと言われているわけです。お金がないから手術できない。その仮放免女性にはお子さんがいらっしゃるのですが、お子さんがお母さんの状況を見かねて、がんセンターに「お母さんをどうにかしてほしい」と訴えに行ったわけです。でも、当然ながら、がんセンターはお金もなく、よくわからない人なので追い返してしまうわけです。その時のお子さんの気持ちを考えると居ても立っても居られない、とてもつらい気持ちになります。これ以上犠牲者を増やしてはいけません。

今回の会見は、仮放免者の命を助けるための会見でもありますし、同時に、仮放免者の置かれている状況をまず理解してもらいたい。その第一歩となる会見だと思っています。仮放免者の命の保障についてご理解とご協力をよろしくお願いします

(C)Natsuki YASUDA / Dialogue for People
(C)Natsuki YASUDA / Dialogue for People
(C)Natsuki YASUDA / Dialogue for People

◆会見のきっかけになったツイート

◆メディア掲載
Buzz Feed 2021.6.4「がんの治療に500万円。健康保険が使えず治療できない人がいる… 救える命を救うため、支援団体が募金を開始」https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/kitakantou-kaiken

弁護士ドットコムニュース 2021.6.4「卵巣がんステージ3でも十分な医療受けられず…在留資格ない外国人の支援団体『命の危機』訴え」https://news.yahoo.co.jp/articles/73daabf4274756b5f4b6f84e6884ab0293c0fc41

東京新聞 2021.6.4「【動画あり】『入管の仮放免者にも医療を』コロナで窮地に…がんでも手術受けられず」https://www.tokyo-np.co.jp/article/108730

「入管仮放免者へ医療支援を」支援者が訴え

Dialogue for People 2021.6.7「在留資格の有無を「生きられない理由」にしないために ―無保険による高額医療費、支援団体が訴え」https://d4p.world/news/10752/

毎日新聞 2021.6.8「外国人にも治療を 支援団体、寄付呼びかけ /群馬」https://mainichi.jp/articles/20210608/ddl/k10/040/092000c

マガジン9 2021.6.9「在留資格で命の線引きをさせない~仮放免者などへの高額医療費支援を求める記者会見~」https://maga9.jp/210609-8/

週刊金曜日 2021.6.18「編集後記」http://www.kinyobi.co.jp/tokushu/003255.php

カトリック新聞 2021.7.11「国家による『間接的殺人』」http://www.cwjpn.com/cwjpn/index.htm

◆募金窓口
銀行名 :ゆうちょ銀行
当座預金:アミーゴ・北関東医療相談会
記号  :00150-9-374623
必須  :通信欄には必ず「仮放免者への寄付」と記入してください。

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