「難民はほとんどいない」発言の裏側?/緊急手術が必要になった仮放免の女性/難民・移民フェス、「パワーをもらいました。私も頑張ろうと思いましたよ!」

2023年6月12日(月)~18日(日)のTwitter(https://twitter.com/yumananahori)の記録です。

■6月12日(月)「天、共に在り」
「信頼」は一朝にして築かれるものではない。利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる。それは、武力以上に強固な安全を提供してくれ、人々を動かすことができる。
中村哲(2013)『天、共に在り』p.244

■6月14日(水)「『難民はほとんどいない』発言の裏側?」
月曜日の朝、私が保証人をしている仮放免状態に置かれている難民の方が脳卒中と心不全の疑いになっていることが判明しました。幸いにも支援者の方と病院のご尽力で服用はできています。早く在留資格を出していただきたいです。無事を願います。
お昼はフランス語レッスンでした。先生は難民の方。始めに比べればよくわかってきた気がします。別の難民の方お二人も参加して一緒にフランス語レッスン。発音が綺麗です。私も頑張ります。
レッスン中に電話があり「高齢の女性が雨に打たれて佇んでいる」。支援者の方が事務所に連れてきて、その後もサポートしてくれました。私はタオルとお茶を持ってきて少し雑談。「認知症なのは自覚しています」。その後はお任せして私は仮放免状態に置かれている難民の方の相談へ。彼女は交番の警察の方と一緒に出ていきました。無事に帰れていることを願います。
難民の方からは家賃の相談。滞納しているとのことです。周りの難民の方々からも信頼されている人。どうにかなればいいのですが。
その後は別の仮放免状態に置かれている難民の方の難民認定申請の証拠書類準備のお手伝い。難民申請は3回目です。話を聞くと難民であることがわかります。しかし、それを独力で書類に落とし込めていませんでした。 「難民認定申請の書類の書き方がわからない。こんな書くんだ…。今まで知らなかった…。みんなに教えてもらわなかったらわからないままだった」。「申請できます」とだけ言ってもそれをサポートし実質的に申請できるようにしないと意味がありません。「難民はほとんどいない」という発言がありましたが、その裏にはこのような事情もあるのではないでしょうか。難民認定申請の手続き的保障を求めます。
そんな彼は私たちのために本国料理を準備してきてくれました。食べたことのない美味しい料理。支援者の方が「材料費とか大変だから無理しないで」と伝えると、彼は「お金を持つことよりもみんなにつくることの幸せが大事」と話していました。そういうことをサラッと言える人になりたいです。とはいえ、お金も大事なので彼も私も負担なく幸せになれる形を考えたいです。

出所:大澤優真撮影

■6月14日(水)「カタカナ、漢字、難しいね」
火曜日は仮放免状態に置かれている難民の方の通院同行。耳鼻科です。受診を継続して状態が良くなってきました。先生も彼の事情を考慮して適切かつ必要最低限の治療をしてくださっています。助かります。毎回1万5000円ほど出ていきます。お金の苦労が絶えずドキドキしていますが、できれば続けていきたいです。
少し前に彼から「日本語の勉強がしたい」との相談があったので、地域の日本語教室の代表の方にお電話したところ「もちろんです!いつでもウェルカムですよ。お金も心配ありません」と言ってくださいました。感謝しかありません。彼に「どうですか?」と聞いたら「カタカナ、漢字、難しいね」と笑っていました。頑張っていただきたいです。ご本人の努力、地域のみなさまのおかげです

■6月15日(木)「緊急手術が必要になった仮放免の女性」
水曜日は、来日数ヵ月の難民の方の日本語レッスンの事前ミーティングでした。通訳の方も参加してくださいました。ありがとうございます。また、受け入れてくださった教室の皆さまはお金の相談にも乗っていただきました。感謝しかありません。彼は「日本語を学びたい」とすでに勉強を始めています。先生から「○○さんは日本語を勉強して何をしたいですか?」と聞かれて、彼は「皆さんと表面的ではなく深い話をしたい。そして、大学に行きたい」。彼はある専門領域について学んでいましたが、大学在学中に本国にいられなくなり、学びが継続できなくなりました。詳しいことは今は聞きませんが、この話になると顔が険しくなります。日本語、頑張っていただきたいです。その一方で、彼は家賃が払えずに困っています。日本は難民に対する公的保障がほぼないからです。政府はどうするんでしょうか。本当に大変です。 良くなることを願っています。
その後、仮放免状態の方から電話。少し前、彼女は痛くて堪えられずに病院に行ったところ、緊急手術が必要ということが明らかになり、病院の中から私に電話をしました。しかし、私の経験だと100万円以上はかかるだろうと思い、複数の関係者に相談しました。最終的には彼女がいる病院のソーシャルワーカーの方が動き、他の病院で手術が行われることになりました。よかったです。電話はお礼の電話でした。「大澤さん、本当にありがとうね。もうあまり痛くない」。私は諸々調整しただけなので、ご尽力してくださったのは病院の皆さまです。
思い出話ですが、新宿区にある国立病院は緊急手術が必要な仮放免の方に2倍の医療費を請求しました。私は100%自己負担(150万円)なら払うから治療してほしいと訴えましたが、2倍払わないとダメだとのこと。医師は「このままだと死ぬ可能性がある」と言っていたのに最終的には追い出される形となりました。その後、私立病院に受け入れていただき、病院と支援団体でお金を出し何とか生き延びました。医事課の偉い方に「これは差別ではないですか?」とお伝えしたら苦笑しながら「ご意見として承っておきます」とご返答があったのを覚えています。今回はそのようなことがなくてよかったです。
その一方で、今回は医療費は病院負担になるのかもしれません。しかし、本来であれば、就労を許可したり、医療保険への加入を認めたり、未払い補填事業などで対応されるべきであり、特定の医療機関に負担が集中することは避けるべきです。仮放免という仕組みは様々な立場の人を苦しめています

■6月15日(木)「『REFUGEES NO WELCOME』はもうおわりに」
このような事実があります。 日本の「REFUGEES NO WELCOME」はもうやめにしたいです。支え合いが必要なのではないでしょうか。少なくとも、いま日本で暮らす難民はしっかりと保護すべきです。今日も相談がありました。

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【NHK】世界各地の紛争や迫害などによって住まいを追われた人は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻などの影響もあり、先月までの推定…

■6月16日(金)「働くことは尊厳を持つということ」
日本に逃げてきたウクライナ難民の方のお話。 働くことができれば、前向きになれる人もいます。働くことは尊厳を持つということ、回復することにつながり、将来への希望を持つ基盤となります。働くという人としての営みを奪ってはいけません。

シェフを待ち続けるレストラン | NHK | WEB特集
【NHK】先月、オープンしたレストラン。しかし、レシピを考えたシェフの姿は店にはありません。キッチンに立てる日はいつになるのか…

■6月16日(金)「客観性の落とし穴」
村上靖彦(2023)『客観性の落とし穴』p.134
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気になるのは、彼らが統治者の視点に立って語っていることである。国事を決定する権力の視点から「善悪」を判断する。
自らの生活の実感から、あるいは近くにいる家族や友人の視点から社会課題を考えることができるのではないだろうか。
そのためには「一人ひとりの個別の経験」の視点にこだわることが大事になる。
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■6月16日(金)「難民・移民フェス、『パワーをもらいました。私も頑張ろうと思いましたよ!』」
水曜日は仮放免状態に置かれている方お二人の通院同行でした。精神科です。
お一人は、クリニックで待っていたのですが、ご本人からクリニックに体調不良でキャンセルしたいという連絡があったそうでキャンセルになりました。気温や湿度や気圧の影響でしょうか。季節の変わり目なので注意したいところです。彼女に関する事務手続きが必要で、それはクリニックの方が対応してくれました。ありがとうございました。
その後、別の仮放免の方の診察。入管法が可決されたこともあり、メンタルの体調を崩していました。「どっちに行っても死ぬしかない」「先生、大澤さん、力を貸してください」。そのような中、練馬で行われた「難民移民フェス」の話になりました。彼はお客さんとして来ていました。「たくさん人が来てましたよね。私が浮かない感じ、色んな国とか言葉があって、ここは日本じゃないみたい」「魂が喜ぶ感じがしましたよ」「難民とか仮放免の人も沢山いた。みんな頑張ってましたね。とても嬉しかったです。パワーをもらいました。私も頑張ろうと思いましたよ!」 そう言って彼は笑って診察が終わりました。絶対的な力の前でなす術がないと感じることばかりですが、しかし、お互いにパワーを作り出せるのだなと感じました。色々やっていきたいです。
その間に、色々な状況や苦労が重なって再収容されるかもと思われていた仮放免の方が再収容されず、引き続き仮放免になったと連絡。ホッとしました。支援者の皆さま、ありがとうございました。仮放免という状況で地域で生きていくのはとても困難。彼自身も多くの苦労を抱えている。ある支援者の方は「多くの人に出会うなかで彼は上向きになってきている」とお話されていました。すべきこと、考えるべきこと、私自身も問われています。良い方向に進むことを願っています。

■6月16日(金)「DV、堪え忍ばなくても良いように『自立』できる基盤が必要」
木曜の朝イチ、以前よりサポートしている仮放免状態で難民のお母さんから「お騒がせして申し訳ありません、体調が悪くて今日も病院に来ました(注:Google翻)」と連絡。お金がないそうです。彼女の体調はあまり良くなりません。医療費をサポートすることにしましたが、いつまで続けていけるのか…
その後、お世話になっている病院のソーシャルワーカーの方から電話。「○○さんが体調不良で来たんですけど日本語をあまり話せないから、どうにかならないでしょうか…?」彼も仮放免状態の難民です。いつもお世話になっている同国の仮放免状態の難民の方に連絡。緊急で電話通訳をしてもらいました。助かりました。ありがとうございました。外国籍の方が通院することは諸々大変です。
その間、別の病院の医師やソーシャルワーカーの方からご連絡。仮放免状態の方の治療についてご尽力いただき、ご対応いただきました。ここ数ヵ月悩んでいたのでとても助かりました。ありがとうございました。
その後、仮放免状態の難民の方から連絡。水道代が払えないとのこと。このような相談を多く受けますが、私たちもお金がなく、いつも苦労します。
支援者の方から連絡がありました。DVの相談です。様々すべきことはありますが、妻が堪え忍ばなくても良いように「自立」できる基盤が必要です。

■6月16日(金)「フィリピン人仮放免者」
複数の関係者から連絡。フィリピン人仮放免者が仮放免の更新に行ったきり帰ってこないとのこと。Twitterにて退去強制ですでにフィリピンにいるということも見ました。サポートしている来日30年のフィリピン人家族から連絡すると言って返ってきません。いつもメール遅めの方ではありますが。

■6月17日(土)「電車代がない」
支援者の方から困っている人がいると相談があり、その方に電話をしました。仮放免の方でした。「生活のこと、食べ物とか家賃とか電気代とか電話とか交通費、困っています」。電車代がないとのことなので、ご本人のところに行きます。私に何ができるでしょうか。彼は「働きたいです」と言っていました。

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