「外国人と生活保護」に関する政策動向まとめ(2026.7.5現在)

この間、「外国人と生活保護」に関して、政府などから発言がありました。
それに関連して、「外国人の生活保護は制限されるの?」とご質問いただき機会がありましたので、公的に出ている情報をもとに整理しました。
結論的には、今のところ、厚労省が準用措置利用者を制限すると決めた公的情報は確認できません
なお、問題がないのに根拠を示さず「適正化」を進めていこうとすることの問題性については、以下で指摘しましたので、併せてご覧ください。

外国人の生活保護と国民健康保険 根拠のない政府の「対応策」 | | 大澤優真 | 毎日新聞「政治プレミア」
 「外国人は日本人よりも優遇されている」「不正が多く行われている」「日本人ファーストであるべきだ」といった言葉を見聞きすることが多くなった。2025年6月にNHKとJX通信社が実施した調査では、外国人が必要以上に優遇されていると回答した人が64%にのぼった。調査は東京都内の有権者約4600人を対象と
Amazon.co.jp: 経済 2026年 07 月号 [雑誌] : 本
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2026年1月 外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」
35頁に「生活保護制度の運用の適正化」とする項目があります。そこでは、今後の課題として以下のように示されています。

地方公共団体の実務においてマイナンバーによる国籍、在留資格等の情報連携を可能とする。また、国においてもその情報を全国的に収集することを可能とするなどを通じて、生活保護行政と出入国在留管理行政が連携し、行政措置の対象となる者の見直しも含め、保護の補足性の原理との関係も考慮しながら、外国人による制度の適正な利用に向けた必要な措置を検討する。
https://www.cas.go.jp/jp/seisakukaigi/gaikokujinzai/index.html

ここでは、情報の収集をすること、「行政措置の対象となる者の見直し」の検討を行う可能性が示されています。

②2026年1月 厚労省「全国厚生労働関係部局長会議」

「社会・援護局(社会) 説明資料」のスライド10で以下のように示されています。

外国人に対する生活保護については、令和9年6月より自治体の実務においてマイナンバーによる情報連携を可能とし、国籍、在留資格等の情報取得を進めるとともに、国においてもその情報を全国的に収集することを可能とできるよう、出入国在留管理行政と連携し、外国人による制度の適正な利用に向けた必要な措置を検討していく。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69689.html

ここでは、情報の収集をすること、漠然とした良い方で「適正な利用に向けた必要な措置」の検討が示されています。

③2026年2月 厚労大臣会見
厚労大臣と記者のやり取りは以下です。

記者:先月、外国人受入れに関する関係閣僚会議でまとめた総合的対応策に、生活保護制度の運用適正化が盛り込まれました。外国人受給者の在留資格別のデータ把握を進めるほか、人道上の観点から自治体が行政措置として実施している外国人への生活保護の対象見直し検討も明記されました。保護の補足性の原理も考慮するとしています。こうした見直しの意図や、どのように議論を進めて、いつ頃対象者を見直すお考えか、お聞かせください。

大臣:外国人に対する生活保護については、制度の利用実態の把握が十分ではないという課題が指摘されています。こうしたことから、ご指摘の総合的対応策においては、外国人による制度の適正な利用に向けて、地方自治体の実務において、マイナンバーによる在留資格等の情報連携を可能とするとともに、今後、厚生労働省としてもそうした情報の全国的な収集などを進めていくこととしています。ご指摘の行政措置の対象となる者の見直しについては、具体的な方針やスケジュールは現時点で決まっていません。まずは、今申し上げたような自治体における情報連携や、制度の利用実態等に関する国レベルでの情報収集を積極的に進め、その上で、外国人による制度の適正利用に向けてどういった対応が必要なのか、これについてはしっかり検討を進めていく必要があると考えています。

記者:その検討というのは、行政措置の対象の縮小も含めた検討になるということでしょうか。

大臣:今後の課題として、総合的対応策において、行政措置の対象となる者の見直しも含めるとしているので、当然そうしたことは十分念頭に置く必要があるとは考えていますが、いずれにしても、今申し上げたように、実態はどうなのかということが非常に重要だと考えているので、そこをまず我々としては注力していきたいと考えています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00895.html

ここでは、情報の収集をすること、行政措置の対象の見直しについて具体的には何も決まっていないことが示されています。

以上からは、「外国人と生活保護」に関する今まで取ってこなかった統計情報の収集は進めていくが、対象者を制限するような具体的な検討は行っていないことがわかります。

④2026年1月 厚労省「全国厚生労働関係部局長会議」
「社会・援護局(社会) 説明資料」のスライド9とスライド11で以下のように示しています。

外国人に対する生活保護については、法に準じた保護の対象ではない在留資格の外国人に対して誤って支給した例があるなど、制度の適正利用が課題。(スライド9)

法に準じた保護の対象となる外国人は、適法に日本に滞在し、活動制限を受けない「永住者」、「定住者」等の在留資格を有する外国人である(生活保護手帳別冊問答集問13-32参照)。具体的な在留資格等としては、①永住者、日本人の配偶者等の入管法別表第2の在留資格を有する者②特別永住者③入管法上の認定難民等であるのでご留意願いたい。(スライド11)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69689.html

法律上、自治体の裁量で厚労省が示す在留資格外の外国籍者に準用措置を決定することは問題ありませんが、厚労省としてはそのようなことがあっては困るという意思を示しています。実際に、仮放免状態にある人が準用措置を利用した例もありますが(法的に問題ありません)、支援現場の経験上、そのような事例は極めてまれだと思います。

⑤2026年1月 朝日新聞「外国人政策、「共生」から「秩序」へ転換 生活保護の見直しも検討」
朝日新聞の報道では以下の記載があります。

複数の政府関係者によると、難民申請中の人に別の支援金と重ねて支給している例があれば見直す方向だ。このほか政府内には「公共の負担にならない」との要件を満たして永住許可を受けた人が、生活保護を利用する例を問題視する声がある。永住者が受給することの妥当性や、永住許可の収入要件の引き上げなども検討されている。
https://digital.asahi.com/articles/ASV1R4CD6V1RUTIL030M.html

「別の支援金」はRHQの保護費のことかと思いますが、私が関わる範囲では二重受給の人はいませんし、仮にいたとしても、制度的に必然的にごくわずかに留まると思います。問題になるようなレベルではありません。
永住者について、仮に永住者への生活保護を取りやめた場合、文字通りに命の危機に至る人が急増すると思われます。それは、公的支援の得られない難民申請者や仮放免・監理措置状態の方の支援の経験からはっきり言うことができます。

⑥まとめ
今のところ、被保護外国人に関する詳細な統計を取ること、厚労省が決めている準用措置の対象者のみの保護を徹底すること、が公に示されています。RHQの議論は朝日新聞以外には聞いたことがありません。 

⑦懸念
対象者の見直しとして、ターゲットにされる人がつくりだされることを懸念しています。
厚労省が被保護外国人に関する詳細な統計を取り、あるカテゴリーの人が数は少なくても生活保護利用している人がいることが公にされる過程で「〇〇が生活保護を受けている!生活保護目的の来日!」のようにバッシングのネタにされることを危惧しています。

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