省庁交渉:路上の妊婦の保護却下はやめて/制度はあるのに路上に放置され続ける難民申請者

2024年11月11日(月)~17日(日)の記録(https://x.com/yumananahori)です。
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今週は、難民・仮放免・外国籍・日本国籍の方から計82件の相談を受けました。
食料関係×8/住居関係×12/医療関係×14/入管関係×7/教育関係×3/その他×38
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■11月11日(月)「省庁交渉1日目:RHQの保護費 -路上の妊婦の保護却下はやめて-」
今日は移住連の省庁交渉でした。私からは、RHQが相談に行った路上の妊婦を放置して何もしなかった件、RHQ保護費の予算について質問と要請を行いました。
①国からは、妊婦は緊急性が高く支援の必要性が高いというお話がありました。 いま私たちが支援している妊婦はRHQを却下されて国の答弁とは相違する状態なので、妊婦に保護費が適用されることを求めていきます。路上の妊婦は緊急性が高いというのは当然のことですが明言していただいてよかったです。
②また、予算作成に当たって、実態を把握する必要があり、そのために路上のホームレスの難民の調査をすべきで、かつ、昨年11月8日の法務委員会で法務大臣が調査をするという趣旨の回答もしていますが、どこまで調査は進みましたか? 国からは予算編成に当たっては調査は必要という趣旨のお話がありました。私たちも入国まもない難民の調査をするつもりなので、結果は共有する旨お伝えしました。適切に実態を把握し、明らかに少ない額で見積もられている予算を増加させる必要があります。実態をみないで予算を減らことはしてはなりません

出所:大澤優真撮影

■11月12日(火)「省庁交渉2日目:ホームレスの難民申請者を保護することは法的には可能」
今日も移住連の省庁交渉でした。私からは、急増する難民申請者のホームレス(妊婦こども含む)の対応について厚労省に質問と要請を行いました。
困窮者自立支援制度は国籍も在留資格も問わない?→はい
②同制度の一時生活支援事業(シェルター事業)も国籍や在留資格は問わない?→はい
③同制度について、外国籍者が利用した場合、事業委託費や補助金への影響はない(日本国籍者の時と変わらない)?→はい
国は国籍や在留資格を問わず、全ての外国籍者がシェルター事業の対象と明言しています。しかし、東京都などの自治体では制限がかけられ「この在留資格の人は使えません」と示されることがあります。 今回の国の方針、また困窮者自立支援法の改定によるシェルター事業の努力義務化(添付資料)、単身者も夫婦も子どもも妊婦も路上という非人道的な状況を踏まえて、今すぐに対応すべきです。併せて、困窮者自立支援制度以外でも女性や妊婦等が利用できる制度はあるので、その周知徹底を国から自治体にすべきです。 動きます。
省庁交渉では、支援者の方々が、力強く、涙しながら難民や仮放免者の深刻な状況について訴えられていました。 「どうしてそこまでして入管は子どもたちを追い詰めるんですか…」「難病の人が何も支援がなく放置されている、亡くなるかもしれない」。現実を知っていただきたい

出所:大澤優真撮影
出所:厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室 2024年6月26日「令和6年生活困窮者自立支援法等改正への対応ガイド」より転載

■11月12日(火)「尊厳のない生活」
支援者の方と話していました。難民として逃れてきて公的支援がない女性は日本で尊厳のない状況で暮らさざるを得ない人がかなりいるのではないかと。 男性から家がないという相談をそれなりに受けますが、女性からはあまりありません。でも、それは大丈夫ということを意味していないのではないか。

■11月13日(水)「家賃が払えず家を失う難民申請者」
朝から家賃が払えないという相談。他の方からはビザがあり働けるのだけど一斉解雇で寮を失うとの連絡。2世帯とも若い難民申請者の方です。女性もいます。 昨日の省庁交渉の結果を使い、すべての人が最低限の尊厳のある生活ができるように
その後、大変だーと思っていたら、お世話になっている病院のワーカーの方から緊急医療が必要な可能性のある外国籍の方の医療費の相談。どうにかせねば。

■11月14日(木)「制度はあるのに路上に放置され続ける難民申請者」
支援者の方から連絡。路上生活の入国まもない難民申請者を保護した。路上生活の難民の方々はまだ多くいるとのこと。制度はあるのに路上に放置され続ける状態。 メディアの方々からの取材依頼は増加しています。寒くなってきます悲しいことが起きる前に早急な対策が必要。既存制度でもできるはず。
支援団体の手弁当ではもう限界なのですが、命からがら逃げてきた難民申請者や移民の人たちの凍死を防ぐための冬季緊急支援が公的支援要請と共に必要だと感じてきました。以前、冬に保護した難民の家族(1歳の女の子も)は薄着で文字通り唇をブルブル震わせていました。

■11月17日(日)「『外国人は日本人よりも生活保護を受けやすい』はデマ」
また「外国人と生活保護」に関するデマが出回っているようです。 「外国人は日本人よりも生活保護を受けやすい」はデマです。ご注意ください。ファクトはこちらの本でご確認できます。

さらに深く知りたい方は拙著を御参照ください。「生活保護と外国人」の歴史について史料をもとに詳細に書いています。 外国人への保護は特権だという発言がありますが、歴史的にも運用上においても特権ではありませんでした。むしろ蔑ろにされ続けています。

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