今、ここでどうにかしなければいけないー技能実習生と留学生ー

支援

※この記事は2019年7月26日にはてなブログに掲載した記事を転載したものです。

NHKスペシャル | 夢をつかみにきたけれどルポ・外国人労働者150万人時代

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再放送されるなら見た方がいい。

番組内容はリンク先を。
登場人物はベトナム人留学生・技能実習生、かれらを支援するベトナム人僧侶、かれらを日本に送った送り出し機関、かれらを受け入れた中小企業。

衝撃的だったのは以下の4点。
①借金返済のために非正規就労
かれらは日本に来るために多額の借金をし、その返済のために日本で働く。受け入れ企業の違法行為(給料未払い等)やアルバイトの給料が安すぎて借金をなかなか返済できない。借金を返すまでは母国に帰れない。

②失踪する留学生
学業に努めていたベトナム人留学生。しかしいつまでたっても借金は返せない。通っている学校はまともに教育してくれない。学校に通う意味を失っていく。失踪。留学ビザが切れ非正規滞在に。でも借金を返さないと、生きていかないといけない。密漁の仕事をする。しかし彼は事故で亡くなってしまう。亡骸の目には砂がいっぱい入っていた。

③技能実習生に対する人権侵害
これについてはここで言及しなくても良いだろう。国会でも散々取り上げられている。国が調査した事業所のうち、約7割の事業所で違法残業や賃金未払いなどの法令違反が発覚している。火を見るよりも明らかだろう。

外国人技能実習生の実習実施者に対する平成29年の監督指導、送検等の状況を公表します

④留学生や技能実習生が傷つき亡くなっている事実

事故や自殺で亡くなるかれら。重い障害を負い車椅子に乗る技能実習生。「本当はもっと日本にいたかった」涙を流しながら語る。日本にはいられない。ベトナムへ向かう飛行機に乗り込む。何度もこちらを見る。涙を手でぬぐう。

「かわいそう」「ひどい」だけでは終わらせたくない。かれらに対して何ができるだろう。

かれらには医療保障と生活保障が必要だろう。

医療保障について、番組では緊急手術が必要になったベトナム人技能実習生に手術をした結果、多額の未収金が発生したことを示していた。お金がないかれらは病院に行くことをためらうだろう。大きく問題点は2つ。

生活に困窮しているが故に医療にかかることができない。
未収金が発生した場合、病院負担になる。負担を避けたい病院は外国人をたらい回しにする。

①については「無料低額診療事業」という仕組みがある。詳細はまた今度このブログで書くが、病院によって行っていたりいなかったりと限界がある。医療保障たりえない。
生活保護がある。しかし、留学生や技能実習生には適用されない(詳細はまた今度しっかりやる)。かれらには何の保障もない。

②については僅かだが未収金を補填する仕組みがある(これもまた今度やる)。しかしこれも条件が厳しかったりと限界がある。

①②の問題は今に始まったことではない。90年代にはすでに同じ問題が起きていた。問題の焼き直しだ(これもまた今度やる)。
今、ここでどうにかしなければいけない。

生活保障について。番組では違法行為を繰り返す実習先から逃げてきた実習生たちがボロボロの掘っ建て小屋のようなところで暮らしている様子がうつされていた。かれらは非正規滞在。みるからに生活苦だ。医療保障だけでなく生活保障も必要だ。この点は非常に難しい問題だと考えている。その理由含めて今後どうしていけばよいのかはまた日を改めて示す。

最後に。非正規滞在になり、かつ、生活に困窮した外国人に対して「国に帰れ!」と言う人がいる。間違っている。たしかに目の前からはかれらはいなくなるだろう。しかしかれらは困窮したままだ。国に帰ってもその状況は続くかもしれない。日本で困窮した。日本で生活する中でかれらは困窮した。それならば、日本社会がかれらに対して責任を持つべきなのではないだろうか。

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