お花見/現場は常にトリアージ、ジレンマ/「決まり」を疑う

4月3日(月)~9日(日)のTwitter(https://twitter.com/yumananahori)の記録です。

■4月3日(月)「医療費2万6360円」
今朝、仮放免状態の難民の方から連絡がありました。熱が出ていて辛いとのこと。仮放免者は働けず、また保険に加入することが認められていないので病院に行くことは困難です。緊急時なので病院に行ってもらいました。2万6360円でした。風邪を引くとこれぐらいが1回で出ていきます。普通は病院に行けません。我慢します。場合によっては重症化します。さらに身体への負担、医療費がかかることになります。これが日本の難民の置かれている現状です。就労と国民健康保険への加入を認めるべきです。
その後、ホームレスになりかけている入国まもない難民の方の相談が支援者の方からありました。難民保護政策がほぼない日本では「難民のホームレス化」は必然的な状況です。こうしたことは今後増加していくと思われます。

出所:大澤優真撮影

■4月4日(火)「私はこの家族の助けに答えることができるのか」
今日も仮放免状態に置かれている難民の方から連絡。小さいお子さんたちが体調不良で病院に行っているとのこと。お母さん、子を思い、心配なのだと思います。しかし、医療費は全額自己負担。数万円になると思います。私はこのご家族の助けに答えることができるのでしょうか。

■4月4日(火)「難民申請中のウガンダ人8人に感謝状 神社の清掃続けて7年目」
仮放免状態に置かれている難民の方々。ボランティアで清掃を7年続ける。それを町内会が表彰。
「地元の人でもできない清掃活動に感謝している。これからも垣根を作らず、輪を広げていきたい」

難民申請中のウガンダ人8人に感謝状 神社の清掃続けて7年目:朝日新聞デジタル
 ボランティアとして東京都墨田区内で神社の清掃を続けてきたウガンダ人の男女8人が2日、地域の美化に貢献したことを賞されて東墨田3丁目町内会から感謝状を贈られた。 受け取ったのは、同地域に暮らすキョムカ…

■4月5日(水)「掃除」
今日はシェルターからアパートへ移った方、ボランティアの方と一緒にシェルターの掃除に行きました。綺麗になりました。一人ではできず、皆さんのおかげです。大変ありがとうございました。お昼は牛丼とミカンです。 帰り道に中野駅に寄ったらもう鯉のぼりがいました。驚きました。
その後、支援者の方から電話。路上生活中の仮放免の方がいるとのこと。とりあえずホテル代をその団体が出しました。このあとはどうにもなっていませんし、どうにもなりません。 別の支援者の方からもお話があり、ホームレス寸前になっている仮放免者がいるとのこと。現在、関係者に情報収集中です。

出所:大澤優真撮影
出所:大澤優真撮影

■4月5日(水)「お花見」
月曜日はシェルターからアパートへ移った方と難民や仮放免の方、20~90代の皆さんと一緒に「お花見&お散歩会」に行きました。支援者の方が準備してくださいました。ゆっくりできて楽しかったです。参加者の方からも要望がありましたし、またイベントをしたいなと考えています。
その後は、3人の難民の方から住居・生活・在留資格の相談を受けました。家賃が払えず困っている方もいます。日本語がペラペラなので就労ができれば生活に困らないと思われます。難民性も高い。困難な生活を強いられている。早く難民認定してほしい。

出所:大澤優真撮影
出所:大澤優真撮影
出所:大澤優真撮影
出所:大澤優真撮影

■4月5日(水)「現場は常にトリアージ、ジレンマ」
火曜日はご多忙のところ通訳の方に同行いただいて仮放免状態に置かれている難民の方と一緒に病院に行きました。耳鼻科です。7年間鼻が詰まって呼吸が苦しい状況。この間、一緒に通院をして良くはなってきました。ただ、毎回2万円が飛んでいきます。正直、痛いです。先生にお伝えして、できるだけ費用がかからない対応をしてもらいました。ありがとうございます。ご本人には我慢を強いてしまっています。申し訳ありません。ただ、ご本人から「I’m very happy for your care and support, thank you so much」とメッセージあり。働くことが禁止さえされなければなんとでもなります。健康にもなります。働くという人間的営みを奪わないでほしい。
その後は「生活保護と外国人」関係の取材を受けました。自己責任論がキーワードになっていたかと思います。
その間、医療費が払えず困っている難民で仮放免状態に置かれている家族のお母さんから相談。2つの家族から。1歳のお子さんもいます。病院に行けない。お母さんの気持ちを考えると何とも言えない気持ちになります。でも、断らないと行けない時は断ります。私たちにもお金がないからです。できる限りのことはしたい。現場は常にトリアージ。ジレンマです。

■4月5日(水)「ワル猫」
今月の悪猫カレンダー。「決着を急ぎすぎない」 結論を急ぎすぎないと言い換えることもできるでしょうか。月並みな表現かもしれませんが、大事だなと感じます。

出所:大澤優真撮影(ワル猫カレンダー 2023 https://www.magaz.jp/archives/12764

■4月6日(木)「差別の歴史」
長年、困窮外国人支援をされている方から「これは生活保護という切り口で外国人差別の歴史を示したものでもあるね」と感想をいただきました。 あまり意識しないまま書いていたのですが、長く困窮者支援を続ける方にそのように言っていただいて、大変ありがたかったです。よければご覧ください。

■4月6日(木)「ホームレス化する難民・仮放免者」
仮放免状態に置かれている難民の方から連絡あり。支援団体のサポートや本人の自助努力で家賃を払っていたが、それももう限界に。かつ、4月から家賃が上がりさらに払えなくなった。行き先を探して欲しい。他の支援者の方からも同内容の相談を受けています。ただ、仮放免者の行き先を見つけることは極めて困難です。働けず家賃が払えませんし、住民票を持つことを禁じられているからです。

■4月7日(金)「短い感想を」
昔、ある報道関係者から「いいねと思った報道があったら、ぜひメールや手紙を送ってあげてください。批判的なものはよく届くけど肯定的なものは少ないから」という趣旨のお話がありました。それ以来、報道に限らずいいねと思ったものには良かったですと短い感想を送るようにしています。それが製作者のみなさまに届いているかどうかわかりませんし、地味ではありますが、大事なことかなと思ったりしています。

■4月8日(土)「『決まり』を疑う」
昨日は仮放免状態に置かれている難民のご家族のところに行ってきました。同国人の方が通訳をしてくださいました。3歳と1歳のお子さんがいます。40度の熱が3日出たそうで、病院に駆け込みました。保険加入が禁止されているので全額自己負担。お金かき集めて払いましたが、全額は払えませんでした。残金を払わないと通院できない可能性があります。お父さんには喘息があります。しかし、お金がないので我慢しています。苦しいと思います。 お子さんは元気になっていました。でも、顔色が明らかに悪い。次回受診までに残金をどうにかしなければなりません。
日本も批准している「子どもの権利条約」には、「難民の子ども」「健康・医療への権利」などが取り決められています(https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syouyaku.html)。しかし、日本の実態は条約無視という状況です。目の前で苦しみ続けている子どもたちがいます。保護すべきという後ろだてもあるわけです。それでも保護しないということは、日本政府や行政はあえてしないという選択をしていると言われても仕方ないのだと思います。現状を伝えても「決まりですから」と跳ねられてしまうことばかりです。でもそれは通用しません。子どもの健康を守るということからその「決まり」を疑うべきです。

出所:UNICEFホームページより転載(https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syouyaku.html
出所:UNICEFホームページより転載(https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syouyaku.html
出所:UNICEFホームページより転載(https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syouyaku.html
出所:UNICEFホームページより転載(https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syouyaku.html
タイトルとURLをコピーしました